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2025.11.27 研究ニュース

バイオサイエンス学科 栄養生理化学研究室のグループがメチオニン代謝の異常を介した新しい肝線維化発症メカニズムを発見し、 その成果が国際専門誌J. Biol. Chem. に掲載されました

バイオサイエンス学科 栄養生理化学研究室は、脂肪肝から代謝機能障害関連脂肪性肝炎(MASH)へと病態が進行する新たなメカニズムを解明し、その成果を国際専門誌 The Journal of Biological Chemistry (J Biol Chem) に発表しました。
食生活の乱れや運動不足による生活習慣病を主な原因として発症する脂肪肝と、脂肪肝に炎症や肝細胞傷害を伴うMASHは、近年患者数が増加している深刻な肝疾患です。特に、この病態が進展して肝臓の線維化が生じると、肝硬変や肝臓がんへと進行するリスクが高まります。本研究では、2種類のMASHモデルマウスを用いて、線維化が進行する過程でメチオニン代謝の異常が認められること、さらにヒストンタンパク質のメチル化を介して肝線維化関連遺伝子の発現が誘導されることを、世界ではじめて明らかにしました。これらの成果は、脂肪肝からMASHの進行を抑えるための新たな治療標的の提案、代謝やエピジェネティクスを改善する食事・栄養介入、薬剤の開発につながることが期待されます。
バイオサイエンス学科 栄養生理化学研究室では、今後も生活習慣病の発症・進展メカニズムを分子レベルで解明し、健康寿命の延伸に貢献する研究を推進していきます。

タイトル: Metabolic and Epigenetic Abnormalities Cause Hepatic Fibrogenesis in Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis Model Mice
(代謝およびエピジェネティックな異常が代謝機能障害関連脂肪性肝炎モデルマウスにおける肝臓線維化を引き起こす)

著者: Atsushi Miura, Shiori Ikeda, Yuki Kono, Keigo Kawate, Takashi Hosono*, Taiichiro Seki
   三浦 徳、池田詩織、河野勇気、川手啓吾、細野 崇*、関 泰一郎
   *Corresponding author

雑誌名: The Journal of Biological Chemistry
https://doi.org/10.1016/j.jbc.2025.110959