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2023.12.05 研究ニュース
海洋生物学科の柴﨑助教らの国際共同研究の成果が免疫学の最高峰であるScience Immunology誌に掲載され、表紙を飾りました
海洋生物学科の柴﨑助教が中心的な役割を担い、アメリカ、フランス、ノルウェー、福井県立大などの研究機関との国際共同研究の成果が、免疫学の最高峰の学術雑である「Science Immunology」に掲載されました。この論文は掲載号の表紙に選定され、注目論文としてFocusで特集されています。「Science Immunology」に掲載される論文は、ヒトやマウスを対象とした免疫学の研究が主流であり、魚類免疫学の論文が掲載されるのは快挙と言えます。
この論文には柴﨑助教の指導のもとで研究に参加した大学院生(渡邉翔太さん)も貢献しています。
本論文の概要は以下の通りです。
・哺乳類では感染やワクチン接種によりリンパ節などのリンパ器官で免疫応答が活性化され、抗原特異的抗体が産生される。
・恒温動物のリンパ器官には「胚中心」と呼ばれる構造が形成され、反応性の高い抗体(高親和性抗体)が効率的に生み出されるために重要な役割を担う。
・魚類はリンパ節を持たず、胚中心が存在しないとされており、免疫応答の活性化部位が不明だった。
・魚類では脾臓が免疫応答の活性化と特異的抗原に対する抗体産生の中心となることが明らかになった。
・脾臓には「胚中心」と類似した機能をもつ構造がつくられ、そこで抗体の反応性(親和性)が向上することが示された。
本研究の成果は、「胚中心構造は恒温動物のみがもつ」という免疫学の通説を覆し、脊椎動物の進化の最も初めに現れた魚類がすでに胚中心と類似した構造を形成し、免疫応答を効率的に起こしていることを明らかにしました。
これまで不明であった水産用ワクチンの作用メカニズムに関する重要な知見となり、効果的な水産用ワクチンの開発に貢献すると考えられます。
なお、本研究はJSPS科研費 21H02288、20K22594の助成を受けたもので、アメリカペンシルバニア大学、フランス国立農学研究所、ノルウェー食品・漁業・水産養殖研究所、福井県立大学、ロシアI.M.Sechenov進化生理学・生化学研究所、スペインサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学との共同研究の成果です。
論文:Cold-blooded vertebrates evolved organized germinal center–like structures
(URL: https://www.science.org/doi/10.1126/sciimmunol.adf1627)
Focus: The chilling origin of germinal centers
(URL:https://www.science.org/doi/10.1126/sciimmunol.adl1470)
※ Focus記事の閲覧には、費用がかかる可能性があります。
海洋生物学科オリジナルサイト
http://www.msr-nihon-university.org/