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2025.01.23 研究ニュース
獣医学専攻2年の菊池正太氏らが副腎皮質刺激ホルモンの分泌顆粒形成メカニズムに関わる新たな分子を同定しました
本学獣医学専攻2年の菊池正太氏、本学獣医学科の五味浩司教授および安井禎准教授、秋田県立大学生物資源科学部の穂坂正博教授および小田嶋航希氏、群馬大学食健康科学教育研究センターの鳥居征司教授により実施された研究成果が、The Histochemical SocietyのOfficial Journalである Journal of Histochemistry & Cytochemistryに掲載されました。
下垂体コルチコトロフから分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、副腎皮質に作用して糖質コルチコイドなどの分泌を促進します。これまで、コルチコトロフ由来の培養細胞においてACTH顆粒の形成に関わるグラニンと呼ばれるタンパク質が同定されていましたが、グラニンには多種類があるため、動物の下垂体コルチコトロフにおいてはどのようなメカニズムでホルモン顆粒が形成されるのか、その詳細は不明でした。
本研究では、複数のグラニンに対する抗体をラットのACTH産生細胞に反応させ、結合した部分を蛍光色素や金コロイドで標識するという組織化学的方法を用い、グラニンの発現様式と顆粒における局在性を解析しました。その結果、これまで培養細胞系で知られていたホルモンペプチドを凝集させる働きを持つクロモグラニンA(CgA)とセクレトグラニンIII(SgIII)という2つのグラニンの結合を介した顆粒形成機構の他に、クロモグラニンB(CgB)とSgIIIの結合を介した別の機構があることが分かりました。また、生化学的解析によってCgB とSgIIIが結合活性を示すことが確認されました。下垂体細胞では、CgBはCgAより優位に作用していることが示唆され、CgB顆粒はCgA顆粒とは同じではないことが分かりました。本研究は、ホルモン分泌細胞内に性質の異なる分泌顆粒が混在していることを示す新たな知見をもたらすものです。
研究助成:
本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(C)(課題番号:20K06418および21K06070)の助成を受けて実施されました。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11719422/
doi: 10.1369/00221554241311965