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2018.10.01 研究ニュース
大学院 博士課程前期2年 矢㟢友章さんが国際機能性食品学会2018で学生ポスター賞を受賞しました
平成30年10月15日〜17日にカナダのバンクーバーで開催された「国際機能性食品学会(The International Society for Nutraceuticals and Functional Foods)2018」において、大学院 生物資源利用科学専攻 博士前期課程2年の矢㟢友章さん(食品化学研究室)が、学生ポスター賞2位(2018 2nd Place Winner of the Student Presentation Competition)を受賞しました。102名のポスター発表参加者の中で、日本人最高順位でした。
表彰状を手にする 矢崎さん(左)とDr. Shahidi
・発表内容
有効な治療法の少ないメラノーマという皮膚がんに対して、ニンニクの臭気前駆体であるACSOが予防効果を示すことを明らかにしました。
皮膚がんの1つである悪性黒色腫(メラノーマ)は進行してからの有効な治療法がほとんど無いため悪性度の高いがんと言われています。
2018年のノーベル生理学・医学賞において注目を集めた免疫チェックポイント阻害剤はメラノーマの有効な治療薬の1つですが、全ての患者に対して有効ではなく、後期ステージのメラノーマには効かないこともあります。
生命化学科・食品化学研究室では、これまで、ニンニクの臭気前駆体S-allyl-L-cysteine sulfoxide (ACSO)が、血小板凝集抑制作用、肝障害抑制作用等の薬理効果を示すことを明らかにしてきました。ACSOはアミノ酸の一種であり、食品にこく味を与える成分です。ACSOは、ニンニクを切ったり摩り下ろしたりするとニンニクの臭い成分に変化します。
ポスター発表する矢崎さん
今回の発表では、ACSOが正常細胞は攻撃せずに、がん細胞であるメラノーマの増殖を選択的に抑制することを明らかにしました。
さらに、分子レベルでのメカニズム解析を進め、ACSOがメラノーマのアポトーシス(細胞死)を誘導し、増殖を抑制することを明らかにしました。
ACSOは無臭で水溶性が高い上、こく味成分であることから、加工性および嗜好性に優れた機能性成分として、様々な利用が期待できます。