日本に分布する野生のネズミは、およそ20種類前後。私たちが普段目撃する可能性がある種はその4分の1程度で、残りは山岳地帯や森林、離島、特定の地方などに、人知れず生息しています。

彼らは、ずっと昔から同じ土地に留まってきたわけではありません。地殻変動や、寒冷化による海面低下で陸地ができればそこを移動し、温暖化による海面上昇で陸地が沈めば孤立する。そういったことを繰り返しながら、現在まで分布域を拡大してきたのでしょう。

また、日本にいる野生のハツカネズミは、数千年前に東南アジアなどから渡ってきた、古い時代の外来種です。
最近、北海道の酪農地帯で北米の遺伝子を持ったハツカネズミが発見されました。これは、近年輸入された牧草に紛れ込んでいた可能性が高く、ヒトやモノの移動に付随しても生物の分布は変化します。

「こうした事例を知ると、生物としての彼らの歴史や、展開してきた環境もわかってきます」と話すのは、野生動物学研究室の岩佐真宏教授。
「野生生物の分布と地理的な要因を調べることは、生物の種というものがどうやって決まっていくのか、考えることにつながります。それが私たちの大きな研究テーマでもあるのです」

人類は古代から乳や卵、肉、毛皮といった動物の生産物を利用してきました。動物資源科学科では、家畜はもとより、伴侶動物や野生動物などの動物全般を対象として、これからのヒトと動物の関係を幅広く考えていきます。