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2022.03.25 その他ニュース

学部長から卒業生・修了生の皆さんへ

 日本大学生物資源科学部を卒業される皆さん,大学院生物資源科学研究科・獣医学研究科を修了される皆さん,本日は誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。また,これまで皆さんを励まし支えてくださった保護者の皆様にもお祝いと感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
 日本大学生物資源科学部では,例年3月25日に湘南キャンパス内のアリーナで学位記伝達式を執り行っておりました。しかし,いまだ新型コロナウイルス感染症が収束しないため,残念ながら令和3年度もアリーナでの式典開催を断念せざるを得ませんでした。そこで,学位を取得し旅立たれる皆さんに,生物資源科学部の教職員を代表してお祝いのメッセージをお伝えしたいと思います。
 皆さんが入学された2018年に,日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボール部の試合で起きた反則タックル問題への対応のつたなさから,日本大学はマスコミから多くの批判を受け,皆さんも肩身の狭い思いをされたことと思います。さらに昨年は,本学元理事及び前理事長が背任容疑ならびに所得税法違反容疑で逮捕・起訴されたことにより,これまで先人たちが築いてきた130年の日本大学の伝統が汚され,皆さんは深い悲しみと強い憤りを感じたことと思います。保護者の皆様方にもご心配をお掛けして大変申し訳なく思っております。学部を代表して,心よりお詫びを申し上げますとともに,このような事態が二度と起こらないように,日本大学が素晴らしい教育・研究機関として再生すべく,そして,生物資源科学部及び大学院で学び,研究された皆さんが胸を張って誇れる学部・研究科となるよう私たち教職員は,誠心誠意努力して参ります。
 2019年12月に中国武漢で発生したコロナウイルス感染症は,またたく間に世界に広がり,日々の生活様式を一変させました。わが国では緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が次々と発出され,通学時や講義・実習はもちろんのこと課外活動や友人と交流する時間さえ制限されるなど多くの苦労を余儀なくされました。しかし,皆さんはそのような厳しい学園生活においても,多くの苦難を乗り越えながら,勉学や研究に励み,卒業の日を迎えられました。その努力に対し心より敬意を表します。大学は学問の府でありますが,多くの仲間と出会い,さまざまな活動を通じて豊かな人間性を形成していく場でもあります。コロナウイルス感染症は,多くの仲間との出会いの場を狭めてしまったかもしれませんが,このような状況下において本学で出会った仲間,そして育んだ友情や絆は,平時以上に強いものであり,生涯続くものと信じております。
 皆さんの卒業・修了のはなむけに「雲外蒼天」という言葉を送りたいと思います。この言葉は,〈雲を突き抜けたその先には,青空が広がっている〉ということで,転じて,〈数々の試練を乗り越えれば明るい未来が望める〉という意味であります。いまだコロナウイルス感染症は収束の兆しが見えず,先行きの見えない不安な状況が続いています。しかし,人類はこれまで天然痘,結核,インフルエンザなど数々の感染症に対し有効なワクチンや治療薬を見出し,克服してきました。私たちは,近い将来,必ず新型コロナウイルス感染症にも打ち勝ち,平穏な学園生活を取り戻すことができる日が来ると信じています。そして,これから新たなスタート切る皆さんには,初心を忘れずに何事にも最善を尽くして欲しいと思っています。皆さんがこの日本大学に入学してきた時の希望に満ちた気持ち,これこそが,新たな生活を始める際の原動力となるはずです。どうかその時の気持ちをいつまでも大切にしてください。長い人生の中で,自分が置かれた環境や状況が常に最良であるとは限りません。むしろ苦しい時や辛い時の方が多いかもしれません。どのような環境においても,そこでベストを尽くし,努力していれば,どこかでそれを見ている人がいて,助け,評価してくれます。雲の向こうには必ず青空が広がっているはずです。
 これからの社会は,多様性と不確実性の時代を迎えます。ステレオタイプの概念が通用しなくなり,今まで常識であったものがたちまち否定されるようなことが起こりえます。そのような時代だからこそ,何が真実で何が虚偽なのかを正しく見極め,判断する力が重要になります。科学は,自然界や人間社会における様々な事象や法則を,実験・観察・調査・分析等を通して理解する学問です。そこから事実と真実が明らかになっていきます。卒業される皆さんは,生物資源科学部における教育・研究を通じ,何が事実であり真実であるかをしっかりと見極める力を培ってこられたと思います。同時に,自ら考え,自ら学び,自ら道を拓いていくこと,すなわち「自主創造」の理念を身につけられたことと思います。これらは,新たなステージに向かう上で,また多様性と不確実性の時代を生きぬく上で,とても重要なことであります。
 皆さんは無限の可能性を秘めています。どうか,本学で学んだことに自信と誇りをもって自らの夢の実現と明るい未来に向かって,歩んでいただきたいと思います。今後は,健康に留意され,広い視野と本学で学んだ知識・技術を力として,社会に貢献されることを願って,私からのお祝いのメッセージといたします。

 ご卒業ならびに修了,誠におめでとうございます。

令和4年3月25日

日本大学生物資源科学部学部長
日本大学大学院生物資源科学研究科長
日本大学大学院獣医学研究科長

丸山 総一